FAQ よくある質問

【Q】 母の遺産相続に伴い預金額2,000万円、土地旧建物等もあります。但、旧建物・祈祷場等は、いづれ解体が必要。祈祷場鳥居は再度設置する必要があります。費用は700万位かかります...どのように解決したら良いでしょうか?

【回答】
亡くなった方名義の預金も相続財産になると考える方は相当数いらっしゃいます。

しかし、昭和29年4月8日の最高裁判決で「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解する」と判断されており、亡くなった方名義の預金は法定相続分に従って「当然分割」されてしまうため、相続財産にはなりません。

この点、相続人全員が合意すれば、亡くなった方名義の預金を遺産分割の対象とすることは可能ですが一部でも反対する人がいれば「当然分割」するほかなくなります。

実際、平成14年2月15日の東京高裁決定も
「預貯金は,当然には遺産分割の対象になるものではなく、相続人間においてこれを遺産分割の対象とする旨の合意があって初めて遺産分割の対象とすることができると解される。したがって、この合意がない限り、預貯金は遺産分割を待つまでもなく、相続開始と同時に当然に分割されるのである。」と判断しています。

なお、祈祷場や鳥居は祭祀財産(民法897条)にあたるとされる可能性もありますので、相続財産(土地や建物)とは別に検討する必要があるかもしれません。
いずれにしても、相続財産や祭祀財産の将来的な維持管理費等は原則としてこれを相続(承継)した方の負担となります。

将来発生する維持管理費等も織り込んで遺産分割協議をすることが困難な場合には前述の最高裁判決にしたがって預金を分割するほかないでしょう。

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