一般的に、公共工事により道路を通行止めとなる場合、工事施主側は、営業補償には応じないようです。工事施主側は、営業補償に応じない理由として、工事が社会的に必要性の高いものであり、住民全体の利益になるものであることから、通行止めに伴う不利益は、受忍限度(社会生活を営む上で我慢をしなければならない)内であると説明してくることが多いようです。
少し古い裁判例になりますが、和歌山県にあるショッピングセンターの店子数名が、国道拡張工事に伴い、工事車両の頻繁な往来、道路の一部が片道通行になるなど、買い物客の通行に重大な支障が生じ、その結果、買い物客が激減したとして、国道の設置管理者に対して損害賠償を求めたことがありました。和歌山地方裁判所は、「交通の頻繁な幹線道路で、(渋滞対策等)必要に応じて道路を拡張する場合、その道路の設置管理者は、技術的にも、経済的にも相当と認められる措置をとる必要があるけれど、その措置によっても、なお、工事に伴い利用者に利用上の不便や、その結果として不利益を与えることがあったとしても、その期間程度等が、社会常識に照らし、やむをえないと認められる限度内にとどまる限り、責任問題は生じない。」という判断基準を示し、具体的事実関係を考慮して、店子の受けた不便や不利益は、やむをえないと認められる限度内(受忍限度内)であるとして、工事管理者の責任を否定しました。
工事施主側は、上記裁判にならって、営業補償に応じないことが多いようですが、本件では、工事施主側がどのような措置を講じているのか、工事期間等、具体的事情が分からないため、相談者様の受ける不利益が本当に受忍限度内であるといえるかどうかは不明です。
一度、弁護士に、相談されてはいかがでしょうか。事前に、事実関係を整理した書類や具体的資料をご準備いただければ、より充実した法律相談が受けられると思います。