「地震の影響で賃貸アパートの窓のカギやトイレのドアが閉まらなくなりました。そこで不動産会社に連絡したのですが、なかなか調査や修理に来てくれません。これまでの賃料を減額してもらうことは可能ですか？」

賃貸物件の使用が制限されれば、その割合に応じた賃料の減額が考えられます。しかし賃貸人と賃借人では、使用制限の評価は異なるのが通常です。賃貸人から見たら「不便でも使える」と考えがちですし、賃借人から見たらわずかな制限でも不満に感じます。
このような場合は、賃貸人と賃借人が賃貸物件の使用制限の割合について話し合い、賃料の減額に合意するというのが通常の解決法となります。話し合いで解決できない場合は、裁判手続きで裁判官が減額賃料を定める方法もありますが、費用対効果を考えた場合、裁判手続きはおすすめしません。
仙台弁護士会が設置する紛争解決支援センターでは、弁護士が仲裁人となって紛争当事者から話を聞き、当事者間の問題解決を促進する制度(ADR)を運営しています。本件のように震災に起因した紛争であれば申立手数料は無料ですので、まずは一度ご相談ください。

「妹がマンションを借りる時に、私が保証人になりました。ところが妹が家賃を払わないので、私のほうに支払いの催促が来ます。保証人をやめることはできますか？」

原則としては貸主の同意がない限り、連帯保証契約の解除はできません。まずは貸主とよく協議し、別の保証人を立てるなどして、保証人から外してもらうように交渉することになるかと思います。
それでも連帯保証契約を解除できない場合、同じような訴えに対するこれまでの判例としては、「(1)保証責任の内容に金額及び期間の定めがなく、(2)賃借人が著しく賃料債務の履行を怠り、(3)保証の当時、予見できなかった資産状態の悪化があり、将来も保証人の責任が著しく増大することが予想されるような場合には、保証人は契約を解除することができる」としたものもあります。
ただしこの要件を満たすことは容易ではありませんし、解除が有効か無効かは最終的に裁判で争われることになりますので、できれば弁護士への相談をおすすめします。また保証人になる時は、よく考えてから冷静に判断しましょう。

　入居者に出て行ってもらうためには、入居者との間で結んだアパートの賃貸借契約を終了させなければなりません。
　アパートの賃貸借契約に期間の定めがある場合、賃貸借契約を終了させるためには、家主は、期間満了の１年から６か月前に、入居者に対して賃貸借契約を更新しない旨の通知をしなくてはならず、この通知をするためには、「正当事由」が必要です。
　また、アパートの賃貸借契約に期間の定めがない場合は、家主はいつでも賃　貸借契約の解約を申し出ることができますが、この申し出をするためにも「正当事由」が必要です。
　そして、「正当事由」があるかどうかは、家主や入居者が建物の使用を必要とする事情や、建物の利用状況等、いろいろな要素を考慮して判断されます。アパートを建て替えたいという理由だけで、必ずしも「正当事由」が認められるとは限りません。
　「正当事由」の有無の判断は難しいですし、入居者に明け渡しを請求するにしても、弁護士会の和解あっせん手続（ＡＤＲ）、民事調停、民事訴訟など様々な手段が考えられますので、まずは一度弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか。